世捨て人になろうと思った。
承認欲求を満たすため。
ある晩ふと思った。
この世はなんて生き辛いんだろう。
そして、それを作っている要因のほとんどが対他との繋がりなのではないか、と。
昔の人はうまいことをいう。
自らをロジカルに理解し、表現することを得手としない私は
どのように他者と関わって生きていけばいいのだろう。
そうだ。世捨て人になろう。
想像してほしい。
誰とも関わらない世界を。
誰とも言葉を酌み交わすことなく
気を使う煩わしさのない
そんな世界を。
引き換えに失くすものはなんだろうか。
世を捨てる、
ということはどういう状態か考えてみた。
離島で一人、衣食住全てを自給自足で賄って暮らすこと。
四畳半の部屋に一人きり、本やラジオと向き合って暮らすこと。
例えば工場での生産業や敷地の草を刈るような仕事で
誰ともコミュニケーションをとることなく
生活に最低限必要な賃金のみを得て生活していくこと。
果たして私は手放せるのだろうか。
今ある、数少なくもできてしまった人との繋がりを。
文化的な側面を持ち合わせたこの生活を。
目の前五秒で、ほとんどのことが手元で解決してしまう利便性を。
承認欲求を満たすため、
という目的が答えそのものだ。